店舗で流すBGMを考えるとき、これまでは「有線放送などの業務用BGMを使う」か、「自分で必要な権利処理をして運用する」かの二択で捉えられがちでした。

しかし最近は、そのどちらとも少し違う考え方として、自社管理型BGMという選択肢に注目が集まっています。

自社管理型BGMとは、店舗が自分たちのコンセプトや営業スタイルに合わせて、BGMの方針・選曲・運用を主体的に管理する考え方です。


従来の業務用BGMのように完全にお任せでもなく、個人向け音楽アプリを曖昧なまま使うのでもなく、店舗利用を前提に、より合理的に音環境を整える方法だといえます。

この記事では、自社管理型BGMとは何かを定義したうえで、従来の業務用BGMとの違いをわかりやすく整理します。

この記事を最後まで読むと
  • 自社管理型BGMとは何かがわかる
  • なぜ小規模店舗に向いているのかがわかる
  • 有線型や自分で権利処理をして運用する方法と何が違うのかがわかる
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「BGM House」ディレクター K.G.

  • 累計1,000曲以上の店舗BGMをプロデュース。「音」で空間の価値を高める専門家。
  • 自身の起業経験と、東証プライム上場企業での新規事業開発経験を持つ。
  • 美容室・カフェ・小売店を中心に、「感性×マーケティング」で経営を伴走支援。

自社管理型BGMとは

自社管理型BGMとは、店舗が自らBGMの運用方針を持ち、店舗利用に配慮された仕組みや楽曲を使いながら、音環境を管理していく方式です。

ここでいう「自社管理型」とは、単に好きな曲を自由に流すという意味ではありません。
そうではなく、店の雰囲気・客層・営業時間・ブランドイメージに合わせて、どのようなBGMをどのように流すかを店舗側が主体的に決めるという意味です。

たとえば従来の業務用BGMでは、すでに用意されたチャンネルや番組を選んで流す形が一般的でした。

一方、自社管理型BGMでは、店舗ごとに

  • どんな雰囲気をつくりたいか
  • どの時間帯にどんな音が合うか
  • どこまでコストをかけるか
  • どのような条件の楽曲やサービスを選ぶか

といった点を、自分たちの基準で整理しやすくなります。

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K.G.

つまり自社管理型BGMは、
「店舗BGMを、自分たちの店に合わせて運用していくための考え方」
と理解するとわかりやすいでしょう。

なぜ今、自社管理型BGMという考え方が必要なのか

自社管理型BGMという言葉が必要になってきた背景には、店舗経営の現実があります。

以前は、店舗BGMといえば専用の業務用BGMサービスを契約し、用意された仕組みをそのまま使う方法が主流でした。
このやり方は今も有力ですが、すべての店舗にとって最適とは限りません。

特に小規模店舗では、次のような悩みが出やすくなります。

  • BGMにはこだわりたいが、固定費は抑えたい
  • 画一的な選曲ではなく、店の世界観に合う音を流したい
  • 完全お任せではなく、自分たちである程度コントロールしたい

こうしたニーズに対して、「従来型の業務用BGM」か「自分で必要な権利処理をして運用する」だけでは整理しきれないため、第三の考え方として自社管理型BGMが必要になってきました。

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自社管理型BGMは新奇な言葉ではなく、
今の小規模店舗の現実に合わせて生まれてきた、店舗BGMの新しい選択肢だといえます。

自社管理型BGMの特徴

店舗ごとにBGMを最適化しやすい

自社管理型BGMの最大の特徴は、店舗ごとにBGMを最適化しやすいことです。

同じ飲食店でも、静かなカフェとにぎやかなバルでは合う音楽が違います。
同じ美容系でも、ナチュラル系サロンと高級感のあるサロンでは、流すべき音の方向性は変わります。

自社管理型BGMでは、こうした違いを前提にして、ジャンルやテンポ、音の強さ、時間帯ごとの切り替え、季節感などを考えながら、店に合う音環境をつくりやすくなります。

コストを抑えながら運用しやすい

小規模店舗にとって、BGMは大事でも、毎月の固定費が重すぎると導入しにくいものです。
自社管理型BGMは、使う仕組みやサービスを選びながら運用できるため、コストとこだわりのバランスをとりやすいのが特徴です。

もちろん費用感はサービスによって異なりますが、少なくとも「大がかりな設備が前提」「昔ながらの業務用BGMしか選べない」という発想からは少し離れた選択肢です。

営業スタイルに合わせて運用できる

店舗BGMは、ただ音楽が流れていればよいわけではありません。
朝・昼・夜で空気感を変えたい店もあれば、平日と土日で来客層が違う店もあります。

自社管理型BGMは、こうした運営実態に合わせて、

  • 朝は落ち着いた曲
  • ランチは明るめ
  • 夜はゆったり
  • 季節ごとに雰囲気を変える

といった設計がしやすいのも強みです。

権利面を整理しながら導入しやすい

店舗でBGMを流すときに避けて通れないのが権利や利用条件の確認です。
自社管理型BGMは、その点を意識しながら設計・導入しやすい考え方でもあります。

ここで大事なのは、
「自社管理型BGM=何でも自由に使える」という意味ではない、ということです。

あくまで、店舗利用に配慮された仕組みや条件が整理されたサービス・音源を選びながら、自分たちで運用していく。
この整理が、従来の店舗BGMの考え方と違うポイントです。

自社管理型BGMと従来の業務用BGMの違い

自社管理型BGMを理解するには、まず従来の業務用BGMとの違いを整理するのが近道です。

従来の業務用BGMは、店舗向けに整えられた番組やチャンネルを使う方式です。
そのため、導入時に迷いにくく、一定の安心感があります。

一方、自社管理型BGMは、店舗側が主導して音環境を設計するという点が大きく異なります。

比較項目自社管理型BGM従来の業務用BGM
考え方店舗が主体的に管理する用意された仕組みを利用する
選曲の自由度高め比較的限定されやすい
店舗ごとの最適化しやすい標準化しやすい
運用の柔軟性高い安定しやすい
向いている店舗小規模・こだわり重視の店手間を減らしたい店

従来型が悪いわけではありません。
ただ、「自分の店に合うBGMをもっと主体的に整えたい」と考える店舗には、自社管理型BGMの方が合う場合があるということです。

自社管理型BGMと、自分で権利処理を行ってCDなどの音源を流す場合との違い

もうひとつ比較されやすいのが、店舗が自分で権利処理や利用条件を確認したうえで、CDなどの音源を使ってBGMを流す方法です。

JASRACは、市販CDやインターネット配信音源などによりJASRAC管理楽曲を施設BGMとして流す場合の手続きを案内しており、利用形態によって必要な手続きが異なること、別媒体へのコピー利用では複製手続きが必要になることがあると説明しています。 

この方法は、店舗側が主体的に運用するという意味では、自社管理型BGMと少し似ています。
ただし、実際には考えるべきことが増えやすく、運用の負担も大きくなりやすいのが違いです。

たとえば、自分でCDなどの音源を店舗で流す場合は、

  • どのような権利処理が必要か
  • 使いたい楽曲がどの範囲で管理されているか
  • 店舗利用として問題なく使える条件か
  • 日々の再生や管理をどう続けるか

といった点を、店舗側で一つひとつ確認しながら進める必要があります。

一方、自社管理型BGMは、店舗が運用の主導権を持ちながらも、店舗利用を前提に設計された仕組みやサービスを活用しやすいのが特徴です。


つまり、完全に自力で権利処理や運用を抱え込むのではなく、必要な条件が整理された土台の上で、自分たちの店に合うBGMを組み立てていく考え方だといえます。

比較すると、次のように整理できます。

比較項目自社管理型BGM自分で権利処理を行ってCDなどを流す場合
運用の主導権店舗側店舗側
権利確認の負担比較的整理しやすい自分で確認する範囲が広い
継続運用のしやすさ仕組み化しやすい属人的になりやすい
店舗ごとの最適化しやすい可能だが手間がかかる
向いている考え方柔軟さと運用性を両立したいすべて自分で管理したい

大切なのは、どちらが絶対によいかではなく、
「どこまでを自分で管理し、どこからは整理された仕組みを使いたいか」を見極めることです。

その意味で、自社管理型BGMは、
自分で権利処理を行いながらCDなどを流す方法よりも、小規模店舗が無理なく運用しやすい形に整理された選択肢として位置づけることができます。

自社管理型BGMが向いている店舗

自社管理型BGMは、次のような店舗に向いています。

小規模店舗・個人経営の店

限られた予算の中でも、店の雰囲気づくりには妥協したくない。
こうした小規模店舗にとって、自社管理型BGMは相性のよい選択肢です。

店の世界観を大切にしたい店舗

たとえば、カフェ、美容室、クリニック、セレクトショップ、小規模な飲食店など、空間の印象が顧客体験に直結する店舗では、BGMの役割は小さくありません。

時間帯や季節に応じて調整したい店舗

「朝と夜で流す雰囲気を変えたい」
「イベント時だけ少し印象を変えたい」
こうした運用をしたい店舗にも、自社管理型BGMは向いています。

自社管理型BGMがあまり向かないケース

一方で、すべての店舗に最適とは限りません。

有名な曲、トレンドの流行り曲を流したい場合

有名な曲やJASRAC管理楽曲を施設BGMとして流したい場合は、自社管理型のプレイリストには流したい曲が入っていない場合があります。

多店舗で一括管理したい場合

複数店舗でルールを統一したい場合は、本部一括管理型の仕組みの方が運用しやすいこともあります。

自社管理型BGMは「店舗BGMの新しい選択肢」

ここまでをまとめると、自社管理型BGMとは、
店舗が主体となって、店に合う音環境を設計・運用する考え方です。

従来の業務用BGMのようにすべてを任せる形でもなく、個人向け音楽アプリをそのまま使う形でもない。
その間にある、より現代的で合理的な店舗BGMの選択肢として位置づけられます。

特に小規模店舗では、

  • コストを抑えたい
  • でも店の雰囲気は大事にしたい
  • 自分たちの店に合うBGMを選びたい

というニーズが強くなりやすいため、自社管理型BGMという考え方がフィットしやすいといえるでしょう。

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ディレクター
K.G.

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まとめ|自社管理型BGMとは、小規模店舗に合った合理的なBGM運用の考え方

自社管理型BGMとは、店舗BGMを店舗自身で主体的に管理していく考え方です。

従来の業務用BGMと比べると柔軟性があり、個人向け音楽アプリと比べると店舗利用としての整理がしやすい。
そのため、自社管理型BGMは、小規模店舗にとって現実的で新しい選択肢になり得ます。

店舗BGMを考えるときは、単に「何の曲を流すか」だけではなく、

  • どんな店にしたいのか
  • 誰が管理するのか
  • どこまで自由度が必要か
  • コストと安心感をどう両立するか

まで含めて考えることが大切です。

その視点で見ると、自社管理型BGMは、これからの店舗BGMを考えるうえで押さえておきたい概念のひとつです。

よくある質問

自社管理型BGMとは何ですか?

店舗が自分たちのコンセプトや営業スタイルに合わせて、BGMの選曲や運用方針を主体的に管理する考え方です。

自社管理型BGMと業務用BGMの違いは何ですか?

業務用BGMは用意された仕組みを利用する色合いが強く、自社管理型BGMは店舗側がより主体的に設計・運用する点が違います。

自社管理型BGMは小規模店舗に向いていますか?

はい。特に、コストを抑えつつ店の雰囲気づくりにこだわりたい小規模店舗と相性がよい考え方です。

個人向け音楽アプリとは何が違いますか?

個人向け音楽アプリは個人利用が前提です。自社管理型BGMは、店舗利用を意識して運用や条件を整理しながら導入する考え方です。